代表・中川武からのご挨拶
近・現代におけるメコン川流域諸国(中国雲南省、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナム)は、経済発展を第一とした社会開発を優先させてきました。それは地域に対し大きな利益を生み、一定の成果を挙げていると言えますが、しかし同時にその背景では地域の豊かな自然と伝統文化やそれを象徴する文化遺産が失われつつあることも事実です。
私たちはこの地域で、文化遺産保護事業に携わる人材育成において、単に知識や技術を伝えるだけでなく、この地域で何故文化遺産の保護が必要なのか、それはどのように可能なのか、共に考え、共に協力するネットワークを構築するための活動を進めてきました。文化的課題に対する国際社会からの日本のリーダーシップへの期待は大きく、私たちは日本の果たすべき役割は確実にそこにあると、手ごたえを感じつつあります。
私たちのこれまでの経験を踏まえ、GREEN WIND ASIAは、広く一般市民に対してその重要性を訴え、メコン川流域国を中心とした、当該国および地域の伝統文化の保存復興に寄与し、文化遺産保護に携わる人材育成のために、以下の事業を継続的に行って参ります。また加えて、地域の伝統文化の保存復興に努めることで、開発と保存の調和のとれた地域社会環境づくりに寄与することを目的としています。
代表・中川武について
主な保存修復事業
早稲田大学理工学部助手、専任講師、助教授を経て、1984年から2015年3月まで同大教授。 比較建築史、文化財建造物の保存修復技術の研究を専門とし、1992年よりベトナム・フエにおける午門・勤政殿などの歴史的建造物群の調査研究および保存修復活動、1994年より日本国政府外務省ユネスコ信託基金によるカンボジア・アンコール遺跡救済チーム(Japanese Government Team for Safeguarding Angkor: JSA)団長、2004年よりJAPAN+APSARA Safeguarding Angkor(JASA)共同代表を務める。
また、これまでに日本建築学会副会長、建築史学会会長、文化庁文化審議会文化財分科会専門委員、早稲田大学総合研究機構ユネスコ世界遺産研究所所長、早稲田大学東日本大震災復興拠点自然・文化・安全都市研究所所長などを歴任。
2014年7月博物館明治村館長、2015年5月早稲田大学名誉教授に就任。
著書一覧
バイヨン北経蔵修復
1994 年11 月~ 1999 年9 月
アンコール・ワット北経蔵修復
1999 年9 月~ 2005 年4 月
プラサート・スープラ修復
1999 年9 月~ 2005 年4 月
バイヨン南経蔵修復
2006 年4 月~ 2011 年8 月
バイヨン東面景観整備
2011年11月〜2018年6月
バイヨン外回廊景観整備
1994 年11 月~ 1999 年9 月